2023-05-26

永遠はあるのか あなたは何処へ行ったのか

永遠があると信じきっているひとびとはたまらなくかわいい。いつか手酷い現実の前にうちひしがれるのだろうと考えると、そのみっともなさすらもかわいい。

何処へいってしまったのか分からないひとがたくさんいる。袂を分つことになったひと、気付いたらいなくなっていたひと。私の不出来さが要因であったり、誤解がもとであったりしたけれど、そのすべてが美しく尊い別れだった。

私はいつも、ひとと別れるとき、とても喜ばしいきもちになる。自分でも分からないうちにふっと涙が出て、ああこんなにもまばゆい瞬間はきっと他にはないのだ、と思う。教会で御託宣をたまわっているような気分。私は別れるために出会っているのかもしれない。ひとと別れる瞬間、私は世界でもっとも美しく、かなしく、そして鮮烈に光る。けれど、こんな美しさを得続ける人生よりも、永遠を心底信じきっているかわいいバカになりたかった。もうずいぶんと遅い話だ。